そもそも、人間関係において男対男と男対女とでは、質的なギャップがある。
(1)男性対男性の基準はタテ関係だが、女性の世界は基本的にフラット。タテ関係に基づく男のプライドほど、女にとって面倒なものはない。
(2)男性は女性とは即座にお近づきになれると考える(種の保存の役割上、そうできている)。が、女性は男性を幾重ものスクリーニングにかけている(一人に絞ることに、男性側より大きなリスクを負っている)ため、男性が思うほど簡単に距離は縮まらない――この2点を頭で整理すれば、いろいろと腑に落ちるはずだ。男性はこうした非対称性に気づかぬ向きが大半であり、女性のカンに障る男性の言動の多くはここに起因する。今回集めた幾多のメールにも、それが色濃く反映されている。
まず、(1)のタテ重視からくる“上から目線”。「論理的思考のできるオレ」にこだわりを持ち、女性の言動を非論理的として見下すのだ。
たとえば、20代女性の同級生男性が飲み会の後に送ってきたメールが図1。オノレを棚の最上段に上げ、他者を否定することでプライドを保つ厄介者だ。さらに共通の知己の女性が結婚した際の、この男性からの一報が図2。自分はここまでひどくはないと思っていても、“上から目線”はメールにも明確に滲み出る。
次に(2)。女性を困らせるのは、聞いてもいないのに披露される自分語りだ。羽を広げた孔雀のような自意識過剰のアピールは、実は大して親しいとは思っていない女性の前で、ひたすら空回りを続ける。
「最初から何かとメールが長文だった友人。日に日に長くなっていき、しかも最後のほうは『雨の夜、独り窓辺に佇み、君からのメールを読み返す(以下略)』とポエム調になっていた。気持ち悪くなって、メルアドを変えた」(30代後半)
「男友達から、カラオケで私の名前入り替え歌を熱唱している様の動画だけ送られてきた。しかも微妙にヘタ。意図がまったく不明だけど、ツッコミたくない……」(30代前半)
「友人といえるほど仲良くないのに、おそらく風呂上がり、鏡に映った水の滴る上半身裸で、本人的にキメ顔らしいモノを写メって何枚も送られてきた。キモ~って思って即削除してたら、『何で感想送ってこないっ!』てキレられた。私のほうがキレたいっ」(30代後半)