女性の側がまったくあずかり知らぬところで「こいつはオレに気がある」と思い込む。彼我の距離を見誤ったまままったく気付かぬ様は、痛々しい。

実は今回、最も多く集まった事例がこうした「距離感の錯誤」を示すものだ。図3もその一例。少しわかりにくいが、擬音もカッコ書きも原文のままだ。

「私にも多少、オタク成分が入ってますが、さすがにここまで文章にされるとキモい!!」(20代SE)

普通にアプローチすれば……といってもそれができれば苦労しない。緊張のあまり、女性との距離を詰めることができないオタク男の独り相撲が涙を誘う。

最後はアルバイトの40代女性。

「題名:16日(日)お時間あります?/突然ですが、16日の日曜日、ご都合よければ会いませんか?/夕方6:00くらいには帰らないといけないのですが、/久しぶりに朝から時間があります。高橋さんの都合のいい場所、時間を指定してください。/(ご迷惑でなければ、高橋さんの自宅で氷結飲みながら、DVDを見つつゆっくり話すっていうのが魅力的ですけど……。)」

図を拡大
図3 オフ会で知り合った30代前半男性から/図4 妻子持ちの年上男性から

メールの出し手は10歳年上の妻子持ち。本人と男女関係はないが、時折連絡は取り続ける程度の間柄だ。

「『自宅で氷結』って、いくら何でも図々しすぎる! と怒ったわけで」

ひとまず他所で会ったものの、早速次のデートの提案が(図4)。

「まったりしませんか? という題名にブチ切れました。1日まったりできる日って、ふざけんな! 即刻お断りしました」(同)

引きすぎても、前のめりになりすぎても“キモ男”扱いが待っている。メールに限らず、男性は女性との間合いを、常に間違え続ける宿命にあるらしい。

(市来朋久=撮影)
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