たとえば、欧米の超富裕層の場合、ファミリー・ビジネスを守るために「子供が何人かいたら、それぞれを別の国の学校に留学させて多方面への人脈を築くとともに、リスクヘッジをする。さらに直接に事業を継ぐ者、弁護士や会計士などの専門職としてサポートする者などに分けて、専門教育を受けさせている」(増渕氏)という。日本の超富裕層も、そうしたやり方を意識的に真似ていくべきだというのである。
祖父母からのしつけのほか、超富裕層が気をつけているのは「歴史から学ばせる」ということだ。
「超富裕層は、日本だけではなく中国や欧州の歴史物の本や偉人伝を愛読する人が非常に多い。私自身、5人の方から塩野七生さんの『ローマ人の物語』を勧められました。成功するために必要な教養をそこから学べということなのです」(増渕氏)
小林昇太郎
立教大学大学院修了(経営学修士)。2009年、船井総研内に富裕層ビジネス研究会を設立。国内だけでなく東南アジア、香港、中東などからの入会も多く、そこからいくつもの新事業を立ち上げている。著書に『ビリオネアビジネスの極意』。
橘木俊詔
1943年生まれ。73年米国ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。仏米英独で研究職、教育職を、日銀、郵政省などの各研究所で研究職を歴任。京都大学教授を経て現職。共著に『日本のお金持ち研究』『新・日本のお金持ち研究』がある。
増渕達也
1992年、東京大学卒業後、電通に入社。2000年退社。02年セブンシーズ・アンド・カンパニーを設立。06年ルート・アンド・パートナーズを設立。富裕層のマーケティングを手がけ、7000人以上の富裕層に会ってきた。