では、超富裕層とはどのような人たちなのか。
コンサルティング会社ルート・アンド・パートナーズの増渕達也代表取締役は、顧客や接触した経験のある富裕層を合わせると7000人以上のプロフィールを把握している。増渕氏の知る富裕層のなかで、超富裕層にあたる人々は「代々の資産家である人と、事業を売却して急に10億円超の金融資産を得た人との2種類がある」という。
醸造業など長い歴史を刻むしっかりとした家業を持ち、その事業を守るだけではなく、時代に応じて不動産業や小売業、ガソリンスタンド経営など新しい分野に乗り出すことで資産を漸増させている。これが「代々の資産家」の代表的な姿である。
もう一つの「事業売却組」とは、一代か二代で築き上げた伸び盛りの事業(会社)を、大資本に売却することで大きな資産を得た人だ。
「IPO(株式公開)もここに含まれますが、最近は公開のハードルが上がったために、IPOよりも特定の相手への事業売却という形が増えています。その場合、買い手が見るのは将来性ですから、売上高500万円ほどの会社が10億円で売れたというケースもあります。ですから、突然リッチになったという方も多いのです」(増渕氏)
小林昇太郎
立教大学大学院修了(経営学修士)。2009年、船井総研内に富裕層ビジネス研究会を設立。国内だけでなく東南アジア、香港、中東などからの入会も多く、そこからいくつもの新事業を立ち上げている。著書に『ビリオネアビジネスの極意』。
橘木俊詔
1943年生まれ。73年米国ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。仏米英独で研究職、教育職を、日銀、郵政省などの各研究所で研究職を歴任。京都大学教授を経て現職。共著に『日本のお金持ち研究』『新・日本のお金持ち研究』がある。
増渕達也
1992年、東京大学卒業後、電通に入社。2000年退社。02年セブンシーズ・アンド・カンパニーを設立。06年ルート・アンド・パートナーズを設立。富裕層のマーケティングを手がけ、7000人以上の富裕層に会ってきた。