「お母さん、あったよ!」。みんながパソコンの前に集まりました。合格です! みんなで抱き合ったあと、またおじいちゃん、おばあちゃん、塾へ、そして家庭教師の先生にも法政第二に受かったことを連絡しました。今日で受験が終わり息子は弟と布団を並べて楽しく話をしています。ふすまの向こうから「おとうさん、おかあさん、ありがとう」という声が聞こえました。受験して頑張ってきてこれでよかったんだなと、ようやく思いました。とても嬉しかった。翌日法政第二に入学金50万円を払いに行きました。K中にもすでに入学金30万円を払っており無駄になってしまいますが、この場合は仕方がありません。
手を差し伸べてくれた看護師か。待ち焦がれた憧れの彼女か
しかし、まだドラマが続くとは思ってもいませんでした。法政第二の合格があった4日後の2月10日の夜7時50分ごろ、家族の夕食が終わり、私がゆっくりビールを飲んでいるときに一本の電話がありました。私が受話器をとると「山手学院の……」と聞こえてきました。
なんと山手学院の繰り上げ合格の連絡でした。口パクで妻には「山手から電話」と伝えると妻は「え~~っ、もう法政第二にしようよ」と言います。息子も「俺、法政第二でいいよ」と言っています。山手学院に即答できる状態ではありません。すぐに答えられないと伝えると、入学する意思があれば翌11日にオリエンテーションがあるので、入学金を持って朝9時に来てくださいとのこと。いったん電話を切りました。
正直、初心に帰ってみると山手学院はずっと熱望していた、憧れの第1志望校です。山手学院にするのが誰からみても正当だと私は思いました。しかし妻と息子の気持ちは法政第二です。
そこで息子と2人きりで話し合うことにしました。苦難の道を歩き、殴られ、ボロボロになって倒れているところに最後に手を差し伸べてくれた優しい看護師さん(法政第二)を好きになってしまうのはよくある話。ですが、思い募って、憧れていた彼女(山手学院)が「お待たせ!」と突然目の前に現れたのです。私は息子には山手学院を勧めました。息子は「友達には法政第二に一緒に行こうって言ってしまったし」と漏らします。ですが、最初は悩んだものの息子も納得し、山手学院に行くとの結論を出しました。