試験間近の大事な時期、お子さんが風邪をひいてしまったら、西洋薬に頼るだけでなく、東洋医学を併用してみませんか。
風邪は、さまざまなウイルスによって引き起こされます。ウイルスは多種多様で変異を繰り返しているため、根本治療できる薬はありません。風邪をひいて処方される西洋薬は、のどの痛みや鼻水、発熱などの症状を緩和させるためだけのもの。薬によっては免疫力を弱めて、かえって長引かせてしまうこともあるのです。
東洋医学において風邪は、疲労やストレスで体の抵抗力が弱くなったところに、皮膚から「寒(かん:冷え)」や「外邪(がいじゃ:外から入り込む病因)」が侵入して起こると考えられています。そのため体を温めて発汗を促し、寒や外邪を体外に排出することが基本的な治療方法です。こうした治療では、体を温めることで免疫力が活性化するので、自分の力で風邪を治すことができます。
まず、汗を出すために「ポカリスエット」やくず湯、しょうが湯などで水分補給をします。
ちなみに、夏の風邪は、冷房などによる傷寒(冷えによる風邪)以外は、暑さで疲労することで起こります。その場合、普通に過ごしていても汗をかいています。ですから、冬の風邪のように温めて発汗を促すのはご法度。かえって体力を奪うことになってしまいます。季節によって風邪の治療法は異なるということを、頭の片隅に入れておいてください。
さて、冬の風邪に有効なツボは首の後ろにある「霊大椎穴(れいだいついけつ)」と、その下に5つ並んでいる「刺熱穴(しねつけつ)」です。背骨の首の部分には第1頸椎(けいつい)から第1胸椎といった骨があります。第1頸椎は後ろに出っ張っていませんが、触ってみると突起があるのが第2頸椎から下です。第2頸椎と第3頸椎の間が霊大椎穴です。また、第3頸椎から第1胸椎にかけての突起間が刺熱穴で、5つあります(図を参照)。
お子さんは少し首を下に向けて前かがみになり、お母さんが霊大椎穴から腎熱穴まで、6カ所のツボを順番に指先で横にしごいてみてください。しごき方は、利き手の中指の腹を使って、少し押すようにしながら左右に動かしていきます。すると、痛くて気持ちよく感じるツボが1~3カ所あります。この反応のあった場所こそが、お子さんの風邪に効くツボ。ここにお灸をすると、風邪のひき始めには驚くほど効果があります。
お灸は薬局で市販されている、もぐさが肌に触れないタイプの商品が手軽に使えていいでしょう。私のお薦めは、釜屋もぐさ本舗の「カマヤミニ」の弱タイプ。もぐさの量が多くて、家庭でも本格的な治療ができます。子供は肌が敏感なので、もぐさの量を半分にして使いましょう。もぐさを押し出してから、半量をカットして使ってください。