したがって、私たちが行うべきは単なるインプットの削減ではなく、インプットの選択や工夫である。限られた自分の時間とエネルギーを何にどのくらい費やすかについて卓越したマネジメントを行い、卓越した成果をアウトプットし、卓越した生産性を実現するのである。

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急ぎの仕事ばかりしていると中毒に!

情報過多、複雑化は脳への負担を増し、人間の処理能力を超えてしまう。その結果、集中力が続かず、頭のなかが混乱し、簡単な仕事にすら精神的なエネルギーを維持できない状態をもたらす。とりわけ緊急対応に追われていると、脳は物事を深く考えることなく自動的に反応するようになり、果ては「緊急中毒」に陥ってしまう。「緊急」という危機が生じるとドーパミンが放出され、そのうちに切迫感と興奮に依存するようになるのである。

現代人の脳はさまざまな刺激の奴隷になり、反応的になって主体性を失っている。そうした状態から脱却し、私たちは主体性を取り戻さなければいけない。

緊急-反応的な対応をするとき、私たちは脳の後部にある反射や直観、感情などを司る原始的な部分を使って情報処理をしている。一方、主体的な対応をするときは、計画や注意力、自己管理などを司る前頭前野を使い、創造的な思考を行っている。

卓越した成果を生み出すには、前頭前野を活用し、創造的な思考を実現することが必要だ。「5つの選択」はその方法を明示し、現代人に主体的な生き方をも取り戻させる。

スティーブン・R・コヴィー
1932年、米国ユタ州生まれ。作家、経営コンサルタント。世界78カ国でリーダーシップやマネジメント教育などを手がけるフランクリン・コヴィー・グループの創始者の1人。著書は『7つの習慣』『第3の案』など。
■フランクリン・コヴィー キングベアー出版
http://www.franklincovey.co.jp/books/
(構成=宮内 健 撮影=若杉憲司)
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