[ 2 ] サービスの欠陥を定義し、またその測定方法を決める

品質問題の「教祖」であり、その経営管理理論がシックス・シグマの基礎である故W・エドワーズ・デミングの次のアドバイスを心に留めよう。

「人間が欠陥を引き起こすのではなく、システムが引き起こすのだ。つまり、従業員は通常正しい方法で物事を行おうとするが、彼らの行動はシステムの設立方法に強く影響される。したがって欠陥とは、ある特定の個人の過失を問うべきサインである場合よりも、システムを再構築すべきというサインであることが多い」

とはいっても、サービス業においては、製品がないため、「欠陥」を定義することは非常に難しい。しかしこの定義ができるまではシックス・シグマの効果は期待できない、と前フォード・モーター品質管理者で、『Scoring a Whole in One』の著者エドワード・ベーカーは言う。

GEの前会長ジャック・ウェルチは、現場のマネジャーは「顔をCEOに向け、顧客に尻を向けている」と言い、「顧客が品質を定義する」というシックス・シグマの本質的価値を強調した。従業員がプロセスの各ポイントで品質を定義するのはもちろんのことだが、結果の最終審判は顧客であるということだ。したがって、サービスに対するシックス・シグマ・プログラムの多くは、「欠陥」を低レベルの顧客満足度あるいは顧客喪失という結果を出すプロセス上の不備と定義している。

シティバンクは、96年にシックス・シグマ・プログラムを銀行サービスに導入した際に、顧客満足度調査の上位2ランクより下の返答をすべて欠陥と定義した。この定義と顧客からの調査フィードバックに基づいて、シティバンクは口座開設、顧客明細書作成などをはじめとする5つの工程において、7つの欠陥を特定した。