公認訓練職種を決める「BIBB」
デュアルシステムを含めて、ドイツの職業教育政策を連邦ベースでコーディネートしているBIBB(職業訓練教育機構)という組織に話を聞いた。BIBBは連邦政府の教育研究省、州の労働局、職業学校、実地訓練を行う企業や事業所の連合体で、4者による意思決定機関を持っているそうだ。
デュアルシステムには348種類の公認訓練職種があって、それぞれの職種ごとに実地訓練の期間と内容、試験の内容などがきめ細かく規定されている。こういう仕事ができるようになったら何級という「8段階のグレードが職種ごとに決まっている」のだ。
公認訓練職種を決めてプログラムを立案し、毎年アップデートしていくのがBIBBの大事な仕事で、そこに非常に労力をかけているという。
公認訓練職種のどれを選ぶかは、当人の希望次第である。その職種の訓練生を募集している企業に応募し、採用試験に合格すれば企業と職業訓練契約を結ぶ。職業教育訓練の期間は、職種によって異なるが2年半~3年。最終試験に合格すれば「デュアルシステム職業訓練資格」が得られる。この資格を得ることが、その後の継続的な職業訓練や専門学校に進学するための大事な前提条件になっている。
会社に就職してからも、マイスター制度に則った社内の職能教育制度があって、自分で勉強して職能のグレードを上げていき、最終的にはマイスターを目指す。マイスターになれば、独立開業できるし、人に教える仕事もできるわけだ。
ちなみに一定レベル(第7段階)まで行けば日本で言う旧大検合格と同等の資格がもらえ、大学に行くこともできるが、積み重ねてきた職業教育のルートを外れる人は少ないそうだ。すでに職人として相当の給料を稼げるようになっているからで、職業教育制度はドイツの雇用システムの安定化に非常に役立っている、という話だった。