尾藤誠司 
東京医療センター教育研修部臨床研修科医長・臨床疫学研究室長。90年、岐阜大学医学部卒。著書に『医師アタマ』などがある。

医師の意見を聞いたうえで実際に試してみるかどうかは患者自身が決めることだが、勝手な思い込みで治療の機会を逸したり、副作用が出たりしてからでは遅い。自分に合った治療法を早く見つけるためにも相談しよう。

しかし、どうも担当医と相性が悪く、相談どころか顔を合わすことすら耐えがたい、そういったケースもなかにはあるだろう。そんなときはどうするか。

「我慢できないほどのストレスを感じるなら双方にとって不幸なことです。関係性が破綻する前に、主治医を代わってもらうしかないでしょう。ただ医師は案外、鈍感で気づいてないことが多い。そういうときは、『実はあなたにストレスを感じている』と告白するのが最も効果的」(尾藤さん)

しかし、ご本人を目の前にして、ストレートにいうのは、よほどの勇気と覚悟がないとできない。尾藤さんのお勧めは主治医の上長に訴える方法だ。

「その診療科の医長など上長宛に手紙を出すか、面会をお願いして相談するといいのではないでしょうか。主治医を代えることは決してタブーではないので、信頼関係が築けないなら、トライしてみるといいでしょう」

ただ、主治医の変更はとてもデリケートな問題なので、タイミングが重要になる。岡本さんは、変更を望むなら治療や処置を受ける前がよいと語る。

「手術や強い薬の治療を受けるときは、何があってもこの先生なら信頼できる、という自分自身が納得できる強い意志が必要です。信頼関係を構築できないまま、ズルズルと治療を受け、途中で代えたいと思っても、すでに何らかの治療を施した後では対応策が限られてしまうケースが多い。主治医の変更は可能ですが、実際にあまりよい方法ではないと思います」

主治医の変更や転院という最終手段が可能だとわかっていれば、関係性が悪化する前に、いま1度腹を割って話してみてもいいのではないか。単に医師とのコミュニケーション不足が原因であれば関係改善できるかもしれない。それでも無理となったら、タイミングを逃さずに速やかに行動しよう。

(アーウィン=撮影)
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