しかし、これこそ人材育成を促す画期的な仕組みです。休暇中に自分の部署の業績を下げるわけにはいかない課長や部長はどうするでしょうか。自分がいなくても部署の仕事がきちんと回るように、最小必要限度の教育を部下にする。一方、部下は部下で、上司がいない間に、上司と自分の2人分の仕事を責任を持ってこなすため、その間に著しく成長します。長期休暇は人材育成のまたとないチャンスです。
メリットの第3は、モンスター社員がいなくなることです。少し業績を上げた社員にありがちなのが「俺がいないとこの会社は回らない」という傲慢な思い込みです。そういう社員は、仕事で業績を上げるとともにワガママになり、社長や上司の言うことを聞かなくなってしまいます。
しかし、実際は社員が1人いなくなっても、会社が潰れることはありません。モンスター社員が長期休暇を強制的に取れば、その社員がいなくても会社や部署がしっかり機能することが明白になります。自分がいなくても会社は潰れないんだ。それを分からせることで、モンスター社員の出現を防げる。
社長にとっても社員にとっても、連続して長期休暇を取らせたり、取ったりするのは思い切りがいるのかもしれません。しかし、1度強制的に実施してしまえば、これほどメリットの多い仕組みもないと気がつくはずです。社員の休暇の時間をうまく活用するのも、社長の腕の見せどころです。
※本連載は『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』(小山昇 著)からの抜粋です。