高年収になるほど幅広い知識が求められるが、今回の調査でも、高年収の層ほど勉強熱心な実態が浮かび上がった。勉強しているものの数が高年収の人ほど多く(図2)、継続期間も長い(図3)。
人事戦略コンサルタントの高城幸司氏は、この傾向を別の角度から分析する。
「会社における出世のラインは、マネジメントと専門職の2通りです。どちらにしても上にいくほど人数が少なくなり、競争が激化します。優秀な人なら1度は年収1500万円台に届くかもしれませんが、その年収を5年もらい続けることができるのは、ほんの一握りの人だけ。上の層は自分の持つスキルが陳腐化すれば他の人に取って代わられるため、絶えず勉強してスキルを更新する必要があるのです」
一方、年収が低い層はどうか。
「年収500万円以下の人の仕事はオペレーションが中心で、必要なスキルは会社が教えてくれます。また、すでに年収が低いため、勉強しなかったからといって年収がいま以上に減るリスクは小さい。現状維持だけなら難しくないので、高年収層より勉強熱心でないのも致し方ない」(高城氏)
ただ、今後は500万円台の人も、年収減のリスクに直面せざるをえない。以前と比べて、企業が人材育成に消極的になっていると高城氏は語る。
「これまで必要最低限のスキルは会社が教えてくれましたが、今後はそれも期待できない。この層の人も自分で投資してスキルを磨かないと、派遣などの低コストの労働力に取って代わられますよ」
(調査概要/楽天リサーチを通じて、ビジネスパーソン999人より回答を得た。調査期間は12年6月21~24日。)
資産運用コンサルタント。ニューヨーク大学卒業。モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント、ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券を経て、2005年に独立・起業。現在は執筆業、資産運用やキャリアアップなどの講演・セミナーを行う。
セレブレイン代表取締役社長。1964年、東京都生まれ。同志社大学卒業後、リクルート入社。営業で6年間トップセールスを受賞。独立起業情報誌「アントレ」を創刊させ、事業部長、編集長を歴任。2005年より現職。営業やマネジメントの著作多数。