制約だらけの状況から脱する方法

この問題に初めて挑む人は、その解決を不可能とするような仮定をもって解決に挑むことになりがちである。それは、与えられた9つの点は四角形を構成しており、問題はこの四角形の枠組みのなかで解決されるという仮定である。

皆さんはどうだっただろうか。制約だらけの現実とは、このように自己準拠的に構成されていることが少なくない。人や組織は、何らかの仮定をもって問題の解決に臨む。そこで自らが設定した枠組みによって、問題が解けなくなっていることが少なくないのである。

校庭の芝生化の事例でも同じことが起きていた。なぜ藤原氏は、芝生化をめぐる制約だらけの状況を脱け出すことができたのか。それは同氏が、「学校の問題は学校のなかで解決する」という枠の外につながりを広げ、地元の人たちに声をかけていったからである。

つながりを広げていけば、枠の外に出ることができるのだ。

とはいえ、枠の外に出ることは、変化のための第一歩にすぎない。9点連結問題もそうだ。その解決には、枠の外から9つの点を、新たにつなぎ直さなければならないのだ。

では藤原氏は、つながっていなかったものを、どのようにつないだのか。第1に、そこでは、ウィン-ウィンの関係が実現している。藤原氏は、新たなプレーヤー(個人や組織)を見いだすだけではなく、さらに多様なプレーヤーが相互にメリットを手にする関係を導いている。たとえば、地域の価値を高めようとしている人たち、あるいは園芸のスキルを持つ人たちは、校庭という地域の大きなステージが開放されるとともに、孫や子供のような地域の中学生たちとの触れ合いの機会を手にしている。一方で学校の側は、環境整備におけるマンパワー不足の解消を、生徒たちは、勉強以外の貴重な体験の機会を手にしている。