アンケートでも、それを裏付ける結果が出た。ビジネスに有効だった勉強を尋ねると、上位には「読書」(57.4%)、「職場の人からの教え」(47.7%)が入り、「語学教室」(7.3%)や「MBA」(2.1%)を大きく上回った(図10)。英語やMBAはファッショナブルで見栄えがいいが、実用度でいえば読書やOJTに軍配が上がるようだ。
気になるのは「大学時代の勉学」が12.0%と低かったことだ。大学教育の質の低下を嘆きたくなるが、人事コンサルタントの城繁幸氏は「大学が社会に合わせているだけ」と指摘。
「企業は大学教育を重視していません。なにしろ学生の成績が出る前に内定を出しますからね。まず企業が大学教育を重視する姿勢を打ち出さないと、大学教育は変われない。その点でいうと、新卒スペシャリスト採用の初任給1000万円を打ち出したDeNAの試みは面白い。1年目からスペシャリストを求める採用が増えてくれば、大学教育の質もおのずと変わっていくはずです」
東日本大震災を経て、仕事観はどう変わったのか。アンケートを見ると、「社会貢献につながる仕事を欲するようになった」という回答がもっとも多かった(図11)。
「社会的ポジションの高い人は、もともと収入より社会貢献を意識している人が多いです。ただ今回の震災で、そうでなかった人も変わってきた。震災で人間がいかに小さな存在か思い知らされましたが、だからこそ社会全体で助け合いたい、支え合いたいという感覚が芽生えてきたのでしょう」(小宮氏)