東日本大震災と原発事故。2011年を語るときに、この2つの出来事を外すことはできないだろう。震災と原発事故の影響は、物理的なものに留まらない。日常が脆くも崩れ去っていく様子を目の当たりにして、自分の働き方や生き方を問い直した人も多かったはずだ。
激動の1年を経て、ビジネスマンの仕事や人生観はどう変わったのか。それを探るため、プレジデント誌読者1126人を対象にアンケート調査を実施した。回答者の平均年齢は45.8歳、平均年収は883万円。課長職以上が50.8%で、一般的な意識調査と比較すると、年収は高めでマネジメント層が多い。それを押さえたうえで調査結果を分析していこう。
震災後に増えた社会貢献意欲
昇進を目指してどのようなスキルを磨けばいいのか。いま注目されているのは英語だが、アンケートでは、TOEIC400点以下の“英語ができない”層は経営層ほど多い実態が浮かび上がった(図7)。巷で騒がれているほど、英語は重要でないのだろうか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は、最近の英語ブームに懐疑的だ。
「ある社長とトルコで落ち合ったのですが、社長はタクシーの運転手に行き先を告げるとき、スマホの通訳アプリと地図アプリを活用していた。それで十分に通じるのですから、わざわざ外国語を身につける必要はない。仕事で英語を使う人はともかく、普通のビジネスマンは自分の仕事を一生懸命やったほうがいい」
一方、根強い人気のMBAはどうか。
「MBAで習うのは技術的なマネジメント手法が中心。一方、経営者の仕事は『企業を方向づける』『資源を最適に配分する』『人を動かす』の3つに集約される。求められる内容と質がかなり異なります。経営トップを目指すならMBAにこだわる必要はまったくない」(小宮氏)