体の老いを心の老いが加速させる

【大前】安倍晋三首相まで調子に乗って、「三浦雄一郎記念日本冒険家大賞」なんて賞までつくった。あれはつまり、国民に夢と感動を与えた冒険家を三浦さんが中心になって選んでいくんですか?

【三浦】大前さんも対象(笑)。

【大前】いやいや、私はバイクとかスノーモービルをやっているだけで(笑)。

【三浦】高齢化社会では年寄りが元気を出して健康であれば、国も幸せですから。日本人のチャレンジ精神と、そのあたりの国民の幸福に貢献したということで賞を創設していただいたと思うんですけどね。

【大前】私も同年代の人とクラス会などで会うと、すっかり老いぼれていて、見るだけで「この野郎、何なんだ」と思いますよ。

【三浦】あれは結局、自分であきらめているんですよ。年を取ると、できない理由ばかりを一生懸命考え始めるんです。

【大前】もう年だし、と。

【三浦】僕の親父(三浦敬三・山岳カメラマン)は99歳でモンブランを滑りましたが、90歳から97歳までスキーで3回骨折しています。深い雪に突っ込んだり、立山でクレバスに落っこちたり。普通、90過ぎてスキーで骨折したら……。

【大前】骨なんかくっつかない。大体、もうスキーをやろうなんて思いませんよ。

【三浦】でも本人は「治せばスキーができる」「99歳でどうしてもモンブランを滑る」とあきらめなかった。すると不思議なことにケガがどんどん回復して、骨もくっつく。僕も76歳のときにジャンプで失敗して骨盤を4カ所骨折して、全治6カ月という診断だった。再起不能、歩けるようになれば上々だと言われましたが、2カ月半で骨がくっついた。そこから車椅子で歩き始めて、2月に骨折して5月の連休にはゴルフをしていました。

【大前】さすがにカートに乗ってゴルフしたんでしょう。

【三浦】いや、歩いてました。