【大前】一緒にゴルフをやると、カートに乗らないんだもの(笑)、「こんなチャンス、もったいない」って走り回って。体の老いを心の老いが加速させるということもあるんでしょうね。どちらが先かわかりませんけど。
【三浦】心が先じゃないですか。僕らもやっぱり同窓会に行くと、「俺はもうダメだ」とか、「あっちが痛いこっちが痛い」「老人ホームはどうする」とネガティブな話題が湧いて出てきて、当然、自分もそういう話の輪に入っていくものだと思っちゃうんですよね。
【大前】予定調和というか。
【三浦】高齢者はこうあるべきだと、勝手に自己暗示にかかっている。「もう余生だから」と思っているわけです。“よせぃ”ばいいのに(笑)。僕の親父はいつまでもスキーがしたいと思っていたから、元気でいられたんです。
【大前】私もこの週末、富山までバイクで640キロ走ってきました。
【三浦】それはすごい。
【大前】ウィスラー(カナダのブリティッシュコロンビア州にあるリゾート都市)のペンバートン氷河に毎年、スノーモービルで行く。これが私の目標です。行くたびに、あと何回こられるだろうかと思うんですよ。
【三浦】まだまだでしょう。
【大前】急斜面を登り下りしなきゃいけないので、結構気合が要る。仕方がないから、毎週のように飯山の野沢温泉の裏山でトレーニングして、それから向かうわけです。それでも氷河の壁を目の前にすると、「これを登って、ひっくり返ったらどうしよう」というのが一瞬、頭をよぎりますね。
(小川 剛=構成 市来朋久=撮影 ミウラドルフィンズ=写真提供 ライヴ・アート=図版作成)