【俣野】先ほどの、部下の能力の伸ばし方にも通じるものがありそうです。どんな相手でも、必ずいいところがあると思って接することが大事ですね。
【弘兼】あまりにも迷惑ばかりかける鼻つまみ者がいるなら、はっきりと「そういうことはよせ」と言ってやったほうがいいと思うけれど、やっぱり組織にはいろんな人がいたほうがいい。
『ナバロンの要塞』という古い映画があって、これはみんなの足を引っ張っるやつがチームに1人だけいるんだけど、そいつをかばいながらみんなが協力することによって目的が達成できるという話です。こういうことは現実にもよくあるでしょう。全員が精鋭だと、かえってうまくいかない。
【俣野】全員が4番バッターのチームが勝てるわけではないようなものですね。
【弘兼】1人か2人、オッドマン(奇妙な人)がいることで、その人が緩衝材のような役割を果たしてくれて、うまくいく。これは「オッドマンセオリー」という有名な理論です。
たぶん組織って幕の内弁当みたいなものだと思うんですよ。いくら肉が好きでも、折り詰めに肉だけギッシリ詰まっているなんて、ちょっと鬱陶しいでしょう。幕の内弁当は肉だけでなく、卵焼きも、野菜の煮物も、佃煮も漬け物もあるからおいしい。それと同じように、組織には人それぞれの役割があって、優れた人とそうでもない人が1つの箱にまとまって入ってる。だからうまくいくんですよ。
※この記事は書籍『プロフェッショナルサラリーマン 実践Q&A編』からの抜粋です。