ひとり、ということで言えば、結婚しない女性が増えていると聞きます。
2011年は平塚らいてうの「青鞜」(婦人問題を扱った文学誌)が誕生して100年目の年。明治の終わりから大正のはじめにかけて、多くの革命家が活動しましたが、当時の女性の地位は本当に低いものでした。仕事がないどころか、参政権すらなかった。
いまや男女雇用機会均等法という法律までできて、女性がずいぶん社会的に立場を得てきています。大学入試でも就職試験でも、1番、2番を取るのはたいてい女性と聞きます。「戦後、靴下と女は強くなった」と言いますが、本当ですね。
でも、現役の女性大臣が子供を産むなどという報道に接すると、大臣に子育てをしている暇があるのだろうかと思ってしまう。女性が社会的に活躍するのは嬉しいことですが、少し矛盾も感じます。
件の女性大臣だけでなく、女性が本気で仕事をしようと思ったら、家族との時間も大切にしたいとか、親に孫の顔を見せてやりたいなんてことは考えていられないはずです。何かひとつのことを成し遂げようと本気で思うなら、結婚も子供もなんて欲張りすぎです。
大きな椿の花を咲かせるには、どうすると思いますか。まだ、つぼみが小さいうちに、ひとつだけを残してみな摘んでしまうのです。そうすれば、大輪の花を咲かせることができる。女性の社会進出が進めば、結婚しない女性が増えるのは当然のことだと私は思います。
私は、いい母になる才能、いい妻である才能、そうした才能をひとつひとつ摘み取ってきました。そして、小説を書く才能だけを残したのです。これだけたくさんの才能を犠牲にしたのだから、せめて小説を書く才能だけはちゃんとしてくださいとお釈迦さまにお願いしています。