余りに淡泊な報道に私は強い違和感を覚えた。トランプ発言は問題だらけなのに、それを指摘し、批判する報道姿勢が見られない。そもそも「24時間以内に解決する」と豪語して出しゃばってきた。そして調停が頓挫した途端に「当事国同士で交渉すればいい」「私の戦争ではない」と手の平を返す。超大国の指導者としてあるまじき振舞いである。駄駄っ子のようだ。6月4日の電話会談で再度プーチン氏の説得に失敗すると、今度は公園で喧嘩する子供に準え「しばらく戦わせた方がいい」とさえ言い放った。しかし、どの番組も無批判の報道で素通りした。「権力の監視役」という大切な役割をどこに置き忘れてきたのか。私が「淡泊過ぎる報道」と書いたのはそういう意味からである。
トランプ政権の「ウクライナ和平」仲介外交は曲がり角に差し掛かった。この機にテレビ報道が提起すべき事柄はたくさんある。外交や軍事面でロシアに有利な状況を創り出したことなどはほんの一部に過ぎない。米国の責任を逐一解き明かし、歴史に記録するのは報道の大切な役割である。
「情報の洪水」戦略に踊らされるテレビ報道を戒める
このテーマとの関連で忠言しておきたいことがある。トランプ政権の情報戦略に踊らされないことだ。自分に都合のいい情報を大量かつ継続的に発信し、相手側の批判や異論を抑え込む。「フラッド・ザ・ゾーン」(flood the zone、情報の洪水・氾濫の意味)と呼称されている。不首尾で面目を失った米大統領は20日、すぐさま「ゴールデン・ドーム構想」と名付けた最先端ミサイル防衛網の運用を3年以内に開始すると発表した。円換算で約25兆円を投じる計画という。
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