三菱重工業 代表取締役会長 
大宮英明 

1946年、長野県生まれ。都立日比谷高校卒。69年東京大学工学部航空工学科卒業後、三菱重工業入社。2001年産業機器本部副事業部長、03年取締役冷熱事業本部長、05年取締役常務執行役員、07年取締役副社長執行役員、08年取締役社長などを経て、13年4月より現職。

「人は替わるでしょう? 社長も必ず替わるでしょう? 人もトップもどんどん替わる。でも誰が替わっても、誰がトップになっても、“自動的に”回っていく経営の設計をしたかった。発展と淘汰とが、自動的にできる仕組みをね」

“自動的”とは象徴的な言葉だが、大宮は、新陳代謝のある組織づくりを目指してきた。組織が有機的に結合し、自動的に“アメーバ”のように互いに作用しあって動き出す仕組みだと解釈できる。

大宮の執務室の壁に、事業のドメイン別にSBU長、部長以上の名前が、入社年度、学歴などと顔写真付きで7×7センチ程度の“駒”になって、100個ほど、マグネットで留められている。SBU長の駒には、稼ぎ出した金額まで書かれている。「これは、写しちゃダメだよ」。

大宮は笑ってみせるが、大宮が必死の思いで5年間行ってきた数値化、視覚化の徹底ぶりが感じられる。69ページに及ぶ「三菱重工の新たな挑戦」の最後にはこう書かれている。

「これからの更なる打手と期待する成果―Coming Soon!―」。今年4月から社長に就任した宮永俊一へバトンは渡された。

(文中敬称略)

(的野弘路、松隈直樹=撮影)
【関連記事】
<三菱重工業>大企業病を退治した大宮改革1800日【1】
ファナック、キーエンス……「利益率40%超」企業の秘密
年間300万本 三菱鉛筆「技ありシャーペン」開発秘話
グーグル式「管理しない人事」がイノベーションを起こす
<三菱ケミカルHD>7人の侍が挑む「5兆円構想」の全貌【1】