世界経済の枠組みが大きく変容しつつあるいま、先進国の債券や株式だけで資産をもつのは、じつは高リスク。わかってはいても、うっかり新興国の金融商品に手を出すのは怖い。たしかに、ここ数年で資産を減らした人は少なくない。だが、そんな中でもキラリと光る高利回り商品は存在する。まずは投資哲学を身につけるところから始めよう。
実際のポートフォリオを見ていきましょう。紹介するポートフォリオは、100万円の投資資金を元手に、安定運用を目指す投資家に適した投資信託を中心に組んだものです。毎月10万円ずつ投資し、10カ月で完成させるイメージです。リーマン・ショックや欧州財政危機の影響で目減りした資産を取り戻したい人も、これから投資を始めたい人も、まずは100万円から始めてみてはいかがでしょうか。
前述したように、私たちの資産の大半は日本円で保有されています。そのため私は投資には海外資産、とくに新興国を意識したポートフォリオが望ましいと考えています。
とはいえ、新興国は経済成長率の高さから相場の上昇が期待される一方で、短期的には価格変動のリスクも免れません。より堅実な運用を好む投資初心者は、海外資産のうち先進国への投資比率を増やし、国内株式を加えて安定性を高めたポートフォリオから始めるとよいでしょう。国内株式を10%、海外投資のうち先進国を65%、新興国を25%の配分です(プレーンタイプ)。
~国内株式を加えて安定運用を目指す
(国内 10%/先進国 65%/新興国 25%)
一般的に王道とされているポートフォリオは、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券を4分割するものだが、保険や年金など私たちの資産の大半が国内債券で運用されていることを考え、ここではあえて国内債券は省いた。
本来ならすべて海外資産に投資したいところだが、安定運用を目指す初心者向けに、国内株式を加えた。日本の経済状況を反映して国内株式投信の運用も難しくなっているが、推奨商品として挙げた「JFザ・ジャパン」のように、過去10年間の運用利回りが10%を超える優良商品も存在する。
さらに海外資産のなかでも先進国への投資比率を高めて、安定性を増した。