先ほど、社員に対してまず「ダイナミックであれ」と呼びかけた。狭い分野に閉じこもるような、単なるエキスパートでは通用しないということを言い添えた。

では、エキスパート型の人材は不要になるのだろうか。もちろん、そんなことはない。私が言いたいのは「世の中の動きにあわせて、ダイナミックな人材になってほしい」ということだ。

ありがたいことに、私たちの社員は多くが高い能力を持っている。ベースがしっかりしていれば、変わることはできるのだ。とりわけ、何事にも興味を示す人なら必ず開発できると思っている。たいていの組織人は、きっかけがあれば花開くのだ。

そうした考えから、私たちは新人だけではなく中堅層や管理職層などを対象に、きめ細かな年代別の研修制度を取り入れている。とくに重視しているのが、モチベーションの下がりがちなベテラン層の啓発だ。定年までの10年、15年を気概十分に働いてもらう。トップランナーたちを鍛えることは必要だが、こうした底上げも大事であると感じている。

NTT西日本社長 大竹伸一
1948年、愛知県生まれ。県立旭丘高校、京都大学工学部卒。71年日本電信電話公社(現NTT)入社。2000年NTT第2部門長、02年NTT-ME東京社長。04年NTT西日本常務、07年副社長戦略プロジェクト推進本部長などを経て、08年社長就任。
(面澤淳市=構成 熊谷武二=撮影)
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