国民民主党の山尾志桜里氏公認見送りをめぐる問題点は何か。ジャーナリストの山田厚俊さんは「出馬を決めた山尾氏は、退路を断って記者会見に臨んだ。一方の玉木雄一郎代表は、世論の動向などを見て出馬辞退を促した。つまり、出馬要請の初手が間違いだった」という――。

「8年前」の説明を避けた山尾志桜里氏

元衆院議員、山尾志桜里しおり氏の公認見送りで、国民民主党や玉木雄一郎ゆういちろう代表への批判が鳴り止まない。まずは簡単に経緯を振り返ってみよう。

5月14日、国民民主党が次期参院選の全国比例の公認候補として足立康史やすし氏、須藤元気げんき氏、薬師寺道代みちよ氏とともに山尾氏を加えた元職4人を発表以降、SNS上での批判、国民民主党の応援は止めたとの声が殺到した。過去に山尾氏は多額のガソリン代支出やJRパスの不正使用などの問題に加え、『週刊文春』で報じられた不倫疑惑などがあり、その批判が再燃したのである。

現場の記者たちからも玉木氏や榛葉賀津也かづや幹事長に対し、山尾氏の会見を求める声が続き、ようやく6月10日、約2時間半に及ぶ山尾会見が開かれた。会見で山尾氏は、不倫問題について「当時の自分の行動は未熟だったと反省している」としながらも、「8年前に言ったことは事実」と主張し、「新しく言葉を紡ぐことはご容赦いただけたらと思う。いろいろな思いの人がいて、いろいろな立場がある。今何かを話せば、さまざまなご迷惑をおかけすることもある」と新たな説明、釈明をすることは避けた。

参院選/会見する山尾氏
写真=時事通信フォト
国民民主党から参院選比例代表に立候補することに関して記者会見する山尾志桜里元衆院議員。自身の疑惑などについても釈明した=2025年6月10日午後、東京・永田町

山尾氏の擁立自体が“敗着”だった

事態はこれで収まらない。翌11日、国民民主党は山尾氏の公認見送りを両院議員総会で決定し、発表した。

これに怒りをぶちまけたのが山尾氏だった。

翌12日、「国政への再挑戦を決意しておりましたが、全国比例代表候補として、その場に立つことはかないませんでした」と悔しさを滲ませた文面で始まるコメントを発表。見送りの経緯に疑問を呈した上で「統治能力に深刻な疑問を抱いている」などと党執行部を批判した。

この公認見送りについて、識者などからは「後ろから撃つ行為」など、党や玉木代表を批判する声が沸き上がった。

ではどうすれば良かったのか。

そもそも、山尾氏の擁立自体が、囲碁や将棋などのボードゲームでいう“敗着”に似たものだ。「負けを決めた指し手」である。私は玉木氏にも山尾氏にも反省すべき点があると感じている。