グーグルが自社スマホとして販売した「Pixelシリーズ」

スマホメーカーとしての参入は後発ながら、日本市場で急成長しているブランドがあります。グーグルのPixelです。Androidの開発元であるグーグルですが、オープンプラットフォームであるがゆえに、端末開発は行ってきませんでした。純正モデルとして投入していたNexusシリーズも、サムスン電子やファーウェイといったメーカーに開発を委ねていました。

日本市場でシェア3位につけたPixelシリーズ。写真は、現行の標準モデルにあたるPixel 9
筆者撮影
日本市場でシェア3位につけたPixelシリーズ。写真は、現行の標準モデルにあたるPixel 9

この方針を変え、自社スマホとして販売したのがPixelシリーズです。3世代目にあたる「Pixel 3」では日本上陸も果たし、以降、毎年のように端末を発売しています。特にシェアを伸ばすようになったのは、廉価モデルのPixel aシリーズを手がけるようになってから。2023年に発売された「Pixel 7a」ではドコモが取り扱いを再開し、このタイミングから一気にシェアを拡大しています。

調査会社MM総研が5月に発表した2024年度(2024年4月〜2025年3月)の携帯電話端末出荷台数調査では、国内シェア3位につけていることが明らかになりました。Androidでは2位で、その出荷台数は1位のシャープに肉薄しています。一時はアップルに次ぐ2位につけていたこともあります。では、Pixelシリーズにはどのような魅力があるのでしょうか。4月に発売されたPixel 9シリーズを例に、その実力をひもといていきます。

AIの力でスマホの弱点を克服したカメラ機能

Pixelシリーズは、「コンピュテーショナルフォトグラフィー」を広げた1台として注目されました。これは、カメラの性能をコンピューターの処理で底上げすることを指します。スマホに搭載できるカメラのセンサーは、そのサイズ的な制約ゆえに、デジカメと比べるとどうしても小さくなります。センサーが小さいと、取り込める光の量が減り、暗所などに弱くなります。

コンピュテーショナルフォトグラフィーの先駆けとも言えるPixel
筆者撮影
大型化が進むスマホのカメラだが、デジカメと比べると制約が多い。それをAIの力で克服したのが、コンピュテーショナルフォトグラフィーだ。Pixelはその先駆けとも言える端末