※本稿は、えぼし『男性看護師ですが何か?』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
採血が一発で決まると心の中で小さくガッツポーズ
看護師の仕事内容は、医療ドラマや映画などで、なんとなく知っている方も多いかもしれません。しかし、細々とした一日の流れを知っている人は、なかなかいないのではないでしょうか。そこで、医療ドラマや映画では描かれていない部分を含めた、看護師のリアルな一日をお伝えしようと思います。一般病棟、集中治療室、精神科など科によって異なりますが、今回は僕が勤めている、一般病棟の基本的な流れを説明します。
出勤したらまずは、自分が受け持つ患者さんの「情報収集」から始まります。30分ほどで患者さんの状態の把握、検査の予定はあるかなど確認し、今日のスケジュールを頭の中でざっくり組み立てます。この段階ではまだ、業務は始まっていません。いわゆる、「前残業」というものです。情報収集が終わったら朝会が始まり、本日の入退院数の把握を行い、夜勤者から申し送りを受けます。
次は、清拭やオムツ交換といった「清潔ケア」に回ります。清潔ケアと一緒に包帯を巻き直したり、傷があればその処置も一緒に行ったりします。続いて採血ですが、血管が細く出にくい人は血管を探すのが難しく、朝立てたスケジュールが押してしまうため、ここは看護師の腕の見せどころです。難しい血管の採血が一発で決まると、心の中で小さくガッツポーズをしています。
お昼休憩も患者に異変があれば食事は中断
採血が終わったら、体温測定や血圧測定をして、コミュニケーションを取りながら病状の観察をします。なんてことをしていたら、もうお昼時で、昼食が運ばれてきます。昼食前にやるべきことも多く、血糖測定やインスリン注射をしなければいけません。本当に、バタバタです。血糖測定の前にお食事が運ばれてしまった際は、「まだ食べないでーーー‼」といった、悲鳴に近い声がよく飛び交っています。その後は、食事介助が必要な患者さんの対応をして、お昼休憩です。お昼休憩といっても、患者さんに異変があれば、食事は中断して飛んでいきますし、なかなかゆっくりした休憩は取れないのが現実です。
お昼休憩が終われば、「カンファレンス」を行います。退院に難渋している患者さんに対し必要な支援やケアなどの検討を、医療ソーシャルワーカーや理学療法士などの多職種で話し合います。カンファレンスの後は、午後にもう一度、患者さんの観察に伺います。しかし、リハビリを行っていたり、訪室しても患者さんが不在だったりすることが多々あります。