物語上は必要であっても今はもう存在しない風景を再現する際はバーチャルプロダクションなど新しい製作技術を取り入れることにも積極的だ。予算や手間をかける必要があるのは、NetflixやAmazonなどグローバル配信プレイヤーの台頭によって視聴者がより質の高いドラマを求めていることが大きいという。
「SHOGUN 将軍」の世界的ヒットの勢いを借り、オーセンティシティを売りにする「大河ドラマ」にはもう1つ、アドバンテージがある。それは量より中身にシフトする市場トレンドに起因する。
「数を打てば当たる時代」は過ぎ去っている
「シリーズ・マニア」開催中に発表したイギリスのアンペア・アナリシスの市場調査結果によると、2024年四半期(2024年10月~12月)の期間、世界全体で新たに製作発注されたドラマの数は587本にとどまった。2010年から2020年代初頭のテレビ全盛期は平均777本に上っていたが、その頃と比べて25%も減少しているのだ。
市場が疲弊していることが要因にあるものの、数を打てば当たる時代は過ぎ去り、中身の新鮮さや多様性で勝負する時代が到来した。ゆえに中身で勝負してきた「大河ドラマ」には勝ち目がある。
NHKのプレゼンテーションには同じ公共放送であるドイツのZDFグループのZDFスタジオで製作と開発を担うロバート・フランク氏も登壇し、「質の高いローカルストーリーを届け続けることに使命感を持つ公共放送にとって今、ますます重要な局面にある」と話していた。

