無効が確認できれば全従業員にも影響
労働者の最終的な対抗措置は民事訴訟です。朝7時に出勤する義務のないことの確認を求めることになると思います。個別の訴訟でも、不利益変更された就業規則の無効性が確認できれば、事実上、会社側は就業規則そのものを修正しなければならず、その効力は従業員全体に及びます。
どれだけの従業員が変更に反対しているかは、裁判での有力な武器になります。たとえば過半数を超える従業員が反対する就業規則であれば、裁判所が有効だと判断しないでしょう。
早朝勤務の無効を確認するとともに、場合によっては損害賠償の請求も考えられます。「早朝勤務を強いられたことで、延長保育料が発生した」「早朝勤務を拒否して昇進が遅れた」「心身の健康を害した」……。いずれの場合でも、因果関係がきちんと証拠づけられるならば請求できます。不合理な就業規則には泣き寝入りせず、ぜひ法的手段で対抗してください。
個人的には従業員の士気をあげるために、経営者らが自ら率先して早朝出社をする発想は理解できます。しかし労働者に一律にそれを義務づけるのはまったく話が別です。
11年9月から、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは就業規則を変更し、始業時間を朝7時に早めました。英語の公用語化にともない、終業後の英語学習を奨励する狙いがあるようです。住まいが遠いなど、7時出社が難しい場合には柔軟に対応しているそうですが、それならばフレックスタイム制を導入すればいい。原則として全員の義務とするのではなく、希望者は早朝勤務ができるようにするべきです。
(構成=山川 徹)