投資信託は人を介さない「ネット証券」で

ちなみに、私も運用している「バンガード S&P500 ETF」は信託報酬が年率0.03%と驚異的な低コストです。

インデックス投資やETF投資のメリットは「資金を預けて寝かせておくだけで、コストを最小限に抑えつつ、それなりに市場の成長の恩恵を受け取れること」です。そのメリットを最大限受けるには「バンガード S&P500 ETF」くらい少ない信託報酬の商品を選ぶべきでしょう。

販売手数料や信託報酬といった手数料を抑えるには、基本的には「人」を介さない取引が有効です。つまり、ネット証券を利用することです。

銀行や郵便局、証券会社の窓口は、人件費や店舗維持費などのコストがかかるため、どうしても手数料が高くなりがちです。一方、ネット証券であれば、それらのコストを大幅に削減できるため、結果としてコスパに優れた魅力的な商品を提供できるのです。

アクティブファンドは買ってはいけない

銀行や郵便局、証券会社の窓口で投資信託について相談すると「アクティブファンド」を勧められることがあります。しかし手を出してはいけません。アクティブファンドは往々にして高い手数料が設定されており、あなたの資産を静かに、しかし確実に蝕んでいくからです。

アクティブファンドとは、S&P500や日経平均株価などの特定の指数を上回る投資成果を目指して運用される投資信託のことです。ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、独自の判断で銘柄選定や売買を行います。

しかし、過去の運用実績を見てみると、インデックスファンドのほうが圧勝しているのです。

アクティブファンドがインデックスファンドを上回るリターンを、毎年安定して継続的に叩き出し続けるケースは稀です。特に、5年、10年、20年といった長期で見れば見るほど、平均的にはアクティブファンドがインデックスファンドに負けてしまう傾向が数多くの調査研究によって報告されています。

中島聡『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)
中島聡『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)

アクティブファンドがインデックスファンドに負けてしまう理由は、その高い手数料にあります。アクティブファンドの運用会社は、高度な専門知識と経験を持つ高給取りのファンドマネージャーを雇い、さらに顧客を獲得するためのマーケティング活動も展開する必要があります。

それらの莫大なコストを、アクティブファンドに投資する投資家たちが高い手数料という形で負担しているわけです。

手数料を除いたパフォーマンスは、平均すればインデックスファンドと同じくらいですが、手数料のぶんだけパフォーマンスが悪くなる。そのようなアクティブファンドを積極的に選ぶメリットは、残念ながら何ひとつ見当たりません。

(初公開日:2025年3月5日)

【関連記事】
新NISAで「オルカン」「S&P500」一辺倒よりずっと賢い…金利上昇時代に投資家が注目している"金融商品"
「新NISAが大損しました」そんな声に耳を貸してはいけない…株価が大暴落しても「貯金より断然マシ」のワケ
投資家の間で早くも「トランプ離れ」が始まった…好調だった米国株が就任2カ月で「一人負け」に転落した理由
「変動型」の住宅ローンがオトクな時代は終わった…金利上昇時代に覚悟すべき「返済額1300万円増」という未来
これに近づくと「悲惨な老後」が待ち受ける…荻原博子「銀行の保険窓口で買える"危険な金融商品"の名前」