絶妙な砂感=粉末カラメルの勝利…リピートする客続出

徐々に製造個数が増え、売上は1日200個に。「こんな時期だから大変だろうけど」と応援してくれる地元住民に助けられた。砂プリンをリピートする客が多く、粉末カラメルに抱いていた不安は自信に変わっていた。

5月30日、「Totto PURIN」グランドオープン。地元住民200人ほどがズラリと並び、1時間で1000個が完売した。

「コロナ禍だったからこそ、地元の方といい関係性を築けました」

2024年のゴールデンウィークには、1日3000個の販売を記録した
写真提供=Totto PURIN
2024年のゴールデンウィークには、1日3000個の販売を記録した

10年後、鳥取県内に「村」をつくる

その後、川村さんは2021年5月にかき氷専門店、12月に生チョコ専門店、2022年11月にヨーグルト専門店と、牛乳や梨や柿などのフルーツといった鳥取の食材を活かした商品を開発し、5年で9ブランドを展開する。食コンサル時代の努力の蓄積が今、開花しているのだ。

社員の平均年齢は26歳、毎年2〜3人を採用し現在13人。コロナ禍の創業期4年間は、連続増収を続けた。

聞けば、川村さんの今後のプランは70以上あるという。「大ヒット漫画『名探偵コナン』の作者・青山剛昌氏の出身地鳥取県北栄町を謎解きの聖地にしたいと、妄想を膨らませています」。

川村さんは10年後に鳥取県内で「村」を作ろうと構想中だ。各地で手掛ける食ブランドの工場を村にまとめれば、200人ほどの雇用を生み出せると力を込めて話す。そのために、5年で20億円の売上を目標に据え、鳥取ブランドを打ち続ける。

「子どもの頃のようにきれいな川で泳ぎながら、鳥取が好きな仲間たちと暮らしたいんですよ」と笑う。

「起業をきっかけに移住して交流を重ねてきたさまざまな業種の仲間たちが、かけがえのない存在になりました。鳥取はまだまだ可能性があるし、僕たちはやれる。今よりももっと地域を変えていける」

大きな瞳は自信に満ち溢れていた。

【関連記事】
もう「おにぎり美人」ではない…2坪の厨房を借りて「おむすび行商」になった27歳女性の素顔
百貨店から追い出され「お徳用」を量産…「クッキーといえば泉屋」の知られざる栄光と転落
なぜラーメン店は3年で7割が倒産するのか…「大行列でも収支はギリギリ」ミシュラン店主が語った「3年目の壁」
「フードコートは安くて便利だけど満足度は低い」の常識を壊した…大阪に爆誕した日本初上陸の「飲食街」の斬新
「三菱商事、伊藤忠、ゴールドマン・サックス」がずらり…偏差値55なのに就職実績"最強"の「地方マイナー大学」の秘密