信仰に関係なくとも、人生の壁に突き当たったとき、聖書の力強い言葉に触れて「目から鱗が落ちる」ことがあるだろう。ちなみに「目から鱗」も聖書から発した表現である。

聖書は様々な種類のものが出ているが、日本語訳としては、フェデリコ・バルバロ神父が訳したものがいいだろう。注釈が豊富で、初心者でも誤解する可能性が少ない。慣れ親しんだ人にもお勧めだ。詳細が解説されているので読むのに時間はかかるかもしれないが、そのぶん理解が深くなるのだ。

仕事にやりがいを見出せない

問題は何のために仕事をするかである。多くの人は金を儲けるための手段として仕事をしているから、仕事がしんどい。朝早いのがキツイとか、残業が辛いという話になる。仕事自体が面白ければ、朝早くから夜遅くまでやっていられる。それだけのことである。

「自分の仕事を心から楽しむ。これ以外に人の幸福はない」というコヘレットの言葉のように、単に日々の糧を得るための手段ではなく、仕事は生きがいであるというのが聖書の考え方だ。

仕事で汗を流すのは苦しいが、その苦しみを乗り越えた先に悦びがある。スポーツや恋愛も同じではないか。苦労しているときは苦しい。しかし障害が大きければ大きいほど、それを克服してゴールにたどりついたときの悦びは大きい。

仕事にやりがいを見出せないのは、仕事自体を楽しんでいないからである。仕事に楽しみや面白さを見出すためには、まず自分を、自分の価値観を変えるしかない。そうでなければ仕事をいくら変えても同じことだ。

「世間で誰もがしている習慣になじんではならない。昔からの因習に染まって生きていてはならない。これまでの考え方をまったく変え、神を求めてみよ。神が何をしたがっているのか。神の目から見た善とは何か。神の望む完全とはどういうことか。それらを知ろうとせよ。頭を変えよ。自分を変えよ」(新約聖書 ローマ人への手紙 第12章)

キリストの弟子である、使徒パウロはローマ人に対して、キリストの教えを理解するためには考え方を変え、自分を変えよと説いた。自分を変えなければ見えてこないものがある。

聖書の言葉

自分の仕事を心から楽しむ。
これ以外に人の幸福はない。

コヘレットの書 第3章