高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、公的医療保険の加入者が1カ月以内に病院や薬局で支払った自己負担額が一定の上限を超えたとき、その超過分が後から払い戻される仕組みである。

たとえば年収500万円の会社員が500万円の抗がん剤治療を受けた場合、通常であれば3割負担として150万円を支払わなければならない。しかし高額療養費制度を利用すると、所得区分ごとに設定された月々の上限額を超えた分が申請後に払い戻しされる。このケースでは実質的な自己負担は25万円程度で済むことになり、病気による経済的なダメージを軽減することが可能である。

現役世代にとっては、2022年度から開始された不妊治療への保険診療拡大でのメリットが大きい。かつては全額自己負担で1カ月100万円近くにもなる体外受精などの高度不妊治療が、年収500万円の会社員が高額療養費制度を利用すれば自己負担額が約10万円となった。その効果なのか、2022年には過去最多の7万7000人の体外受精児が誕生し、これは同年の出生数77万人の約10%に相当する。