事故に至らなくても、2人乗りや2台以上が並ぶ並進走行、夜間の無灯火やブレーキ不良などは罰金刑の対象で、手ばなし運転や携帯電話を使いながらの行為は、「安全運転義務違反」として3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金の対象です。
自転車に関するこのような罰則規定は以前から存在しましたが、これまでは厳格に運用されてきませんでした。しかし自転車の高性能化などに伴い対歩行者の事故が増えるにつれ、近年は罰則規定の運用が厳格化し、逮捕者も多く出ています。十分気をつけ、安全運転を徹底してほしいと思います。そして仮に事故を起こしてしまったら、絶対やってはいけないのが「ひき逃げ」です。自動車事故と同様、自転車事故にも加害者側に救護義務が生じるので、加害者は被害者のケガの程度に応じて助けを呼ぶなりしなくてはなりません。
また、かすり傷や打撲のような軽いケガに見えても、警察を呼んで現場を確認してもらうことが大切です。軽いケガだからと思って連絡先を交換するだけで済ませてしまうと、後になって被害者側が「実は骨折していた」「自転車側が危険な運転をしていた」などと言い出し、高額の賠償金を要求してくる恐れもあります。
そうした事態を防ぐためにも、警察に事故の状況を確認しておいてもらうとよいでしょう。そして事故後は被害者との交渉を早めに開始すること。遅れると話がこじれやすくなるからです。事故後の補償と交渉を担保できる点でも、保険には加入しておくことを、是非お勧めします。
(構成=石田純子 撮影=坂本道浩)