要因③フジテレビの危機に対する自責
週刊誌の続報によって騒動の中心がフジテレビに移り、多くの人々を巻き込んでしまったことも中居の引退を早めた感がある。
75社超がCMを控え、「フジテレビの番組はACジャパンばかりになる」という前代未聞の状況に中居が責任を感じたことは間違いないだろう。
ネット上では一部で「中居はフジテレビのために口を開かず引退させられた」などと疑いの目を向けるコメントもあるが、これは見当違いだろう。徹底した調査を行う第三者委員会に加えて内部告発なども含め、もはや中居が口をつぐむだけで同社を守り切れるはずがない。
それよりも中居の言動を振り返ると、早期の引退を選んだ理由が見えてくる。
かねて中居はスタッフの生活を気にかける言葉を発していた。特にSMAPの解散時やジャニーズ事務所からの独立時は、自分の番組が終了することで出入り業者を含めたスタッフたちが仕事を失うことは避けたい。当時、取材しながらそんな思いを感じさせられたことを覚えている。
その点、今回の騒動では中居の問題がフジテレビ全体に広がり、多くの社員や業者の生活をおびやかす状況に陥ってしまった。報道が事実であればフジテレビにも非があり、会見などで対応を間違えたのも同社だが、これまでの言動を見る限り、中居がスタッフの顔を思い浮かべ、責任を感じないとは考えづらい。
二度とテレビでは見られないのか
さらに中居は被災地への炊き出しや寄付、コロナ禍における医療従事者への差し入れなど、チャリティーに積極的だったのはよく知られる話。業界内でその総額は数億円と言われるほどであり、独身にしてはあまりある収入を必要な人に分配するようなニュアンスを感じさせていた。今回の女性トラブルが報道の通りであれば擁護できないが、そういう人柄もあることは確かだ。
思えば中居は「自分はどうにでもなる身軽な独身だけど、家族のいる共演者やスタッフは大変」と語ることも多かっただけに、23日に開かれたフジテレビの社員説明会における混乱、27日に予定されている再会見なども含め、「やはり自分は引退するしかなかった」という思いを深めているのではないか。
ここまで「人前に出られない」「守秘義務」「フジテレビの危機に対する自責」という3つのポイントから中居の引退を掘り下げてきたが、「これでその姿を二度と見られなくなるのか」と言えばそんなことはないだろう。
実際、24日は朝から中居の姿を映す番組が多く、なかにはデビュー時からの歩みを映像で振り返るようなものあった。今回は許諾不要な報道での引用であることを差し引いても、相手女性と示談が成立しているだけに「中居を映してはいけない」ということは考えづらく、SMAPの再結成こそ絶望的だが、過去の映像を見ることはできそうだ。