引退表明で「中居問題」は「フジテレビ問題」に
タレントの中居正広氏が自身の有料ファンクラブサイトで、23日をもって芸能界を引退すると発表した。「これで、あらゆる責任を果たしたとは全く思っておりません。今後も、様々な問題に対して真摯に向き合い、誠意をもって対応して参ります。全責任は私個人にあります。これだけたくさんの方々にご迷惑をおかけし、損失を被らせてしまったことに申し訳ない思いでなりません」と謝罪をした。
トラブルがあったとされる女性に対しては「改めて、相手さまに対しても心より謝罪申し上げます」と述べた。サイトやSNSでは「逃げた」という非難や「潔い」と称賛する声など種々さまざま入り乱れている。だが、「引退」というタレント生命を断つような決心をして、自身にとっても最も手痛い「けじめ」をつけたことで、中居氏は報道されていることがおおまかな部分で事実だと認めたことになったと私は見ている。
もし事実と違うのであれば、ちゃんと釈明をすることもできたはずだ。もしかしたら、「いまの段階であれば、『中居』ではなく『中居さん』と惜しまれながら辞められる」と判断したのかもしれない。
そしてこのことで、フジテレビ(以下、「フジ」と省略)の立場がますます厳しくなった。事件の張本人が「引退」というかたちで、ある意味“潔く”「非」を認めてしまった一方で、のらりくらりと「調査委員会に委ねる」と繰り返す姿勢は、「言い逃れ」や「隠蔽」と非難されても仕方がないだろう。もはや「知らぬ存ぜぬ」では済まされない。
「ちゃんとやっています」アピール
フジもそれをひしひしと感じているのか、23日には臨時取締役会を開き、その日のうちに社内で説明会を実施した。自社のニュースでは逐一「これから臨時取締役会が開かれます」と現状を伝えるなど、これまでの「閉鎖性」を払拭するかのような変わりようだ。だが、私はこのフジの対応を冷静に分析している。
上記のような行動は、以下の3者への「パフォーマンス」に過ぎない。その「3者」とは、「スポンサー」「海外投資ファンド」「総務省」である。それらに対して「ちゃんとやっています」というアピールをしているに過ぎない。
加えて「第4者」への配慮も必要になってきた。それは、「社内」である。社員や現場のクリエイターたちからの不満の声が大きくなってきたのだ。17日の緊急社長会見は、社内には周知されずにいきなりおこなわれた。そのことに対する社内のバッシングも多かった。
しかし、「言い逃れ」や「隠蔽」体質は、こんな小手先のことでは解消されない。それをひしひしと感じたのは、22日に開かれた関西テレビ(以下、「関テレ」と省略)の定例会見であった。私は、この会見に強い違和感を抱いた。