「運動」がもたらす免疫効果
一般の人たちでは、むしろ一定量の運動を定期的にすることによって健康増進に役立つと考えられます。
効果➀ストレスに強くなる
その一例として、運動を続けることによって血液中のさまざまな炎症マーカーが低下してくることがわかっています。
たとえば、CRPというタンパク質は、体内で炎症が起きたり細胞が傷ついたりすると値が高くなる、いわゆる炎症マーカーですが、ふだんから運動をしている人たちはよほど※激しい運動をしてもCRPが上がりにくいことがわかっています。
※ Kasapis C & Thompson PD, J Amer Coll Cardiol, 45(10):1563, 2005.
その理由のひとつに、運動によって、体内で炎症を抑える働きのある抗炎症性タンパク質が複数作られるようになることがあるようです。
炎症はあくまでも一時的なもの
運動自体は、やりすぎると確かに筋肉などに炎症を起こすことがあるのですが、からだにはそれを元に戻そうとする恒常性維持反応が存在していて、運動をすると体内で複数の抗炎症性タンパク質が作られるようになっています。
このために、ふだんから運動をしている人では、あらかじめ複数の抗炎症性タンパク質が体内でできていて、炎症が起こりにくくなっているのです。つまり、筋肉のストレスに対する予備能力が高くなっているのです。
効果②血管機能がアップする
運動は血管にも働いて、血管の機能をアップさせます。
運動をすると、血流が増加し、これによって血管の内側を覆う内皮細胞が刺激されて、血管を拡張させる物質である一酸化窒素(NO)が作られて放出されるようになるのです。すると、NOは血管壁に存在する平滑筋に働いて、平滑筋の緊張を緩め、このために血管が広がり、血液が流れやすくなります。