そこで着目したのが高速道路から見える看板広告です。高速道路は近隣住民だけでなく日本中から人が集まる、いわば「甲子園みたいな場所」です。高速道路沿いに看板を連続して置けば、より多くの人にきぬた歯科を認知させられると考えました。しかも看板は設置エリアをある程度絞れることもあって、ターゲティングの要素も兼ね備えたハイブリットなマス広告になりうるなと。
――なるほど、戦略的に潜在層を狙ったわけですね。きぬた歯科の看板の最大の特徴といえばきぬた先生の写真が大きくあしらわれていることだと思いますが、このアイデアはどこから生まれたのでしょう?
きぬた:すごく単純な話で、人はみんなそれぞれの人生を生きているから、わざわざ街中の看板をすべて読んで覚えてくれるお人好しなんていないわけですよ。そんななかで人の脳内に厚かましく入っていくためには工夫が必要になる。だから、どこの誰だか分からないおっさんの顔をたくさん並べて、つい目で追ってしまうようにした。それだけです。
――看板広告の設置技術やスキルはどのように習得されたんですか?
きぬた:特に勉強したわけではありません。だから、とりあえず置いてみたものの、効果がなくて撤去した、という失敗事例もあります。エリアでいうと町田がそうですね。きぬた歯科から同じくらいの距離の他エリアからは人が来るのに、不思議と町田のほうからは人が来ないんです。でも、不思議ではあるけれど、来ないものは来ない、で片付けることにしています。理由を分析することに躍起になると、それ自体が目的になってしまって、本来の目的を見失い、ドツボにハマるケースが多いので。それでは本末転倒ですからね。