遠い将来への備えにピッタリな理由
【深野】残存期間が長いほど利回りがいい(=リスクが高い)のは、ほかの債券と同じですね。また、証券会社の債券コーナーを覗くと「ストリップス債」というものを見かけますが、これもゼロクーポン債の一種と考えて問題ありません。(図表2)
ゼロクーポン債の場合、償還日までの年限が長いほうが割引率も高い傾向があるので、遠い将来への備えに向いていますよ。
【ウエノ】銀行預金で眠っている「使う予定がないお金」があるなら、ゼロクーポン債に換えておいたほうがお得ですね。
60歳以降の収入減を補うこともできる
【深野】また、この方法は定年後の収入減対策にも有効です。現在は多くの人が65歳まで働けるようになりましたが、60歳以降に再雇用されると収入が大幅に減るケースが多いようです。こうした収入減を補うために、60歳、61歳、62歳、63歳、64歳……と、65歳までの1年ごとに満期が来るゼロクーポン債を、事前に購入しておきます。
例えば現在40歳の人なら、満期まで20年のゼロクーポン債を買う、41歳で同じ期限のゼロクーポン債、42歳も同様に……と、年を重ねるごとにボーナスなどで購入しておけばいいのです。それによって、60歳以降の収入減に備えられるはずです。
【ウエノ】定年はまだまだ先ですが、将来の備えとして覚えておきます。ただ、僕の場合まずは教育費かな……。
【深野】子供の教育費は使う時期(=進学時期)が決まっているため、確実に貯めることができる金融商品で準備するのが基本になります。償還期限が15〜18年であれば額面金額に対して支払う額の割合は50%程度になるはずです。
ただ、米国債の場合、為替レートが大幅に円高になると、為替差損で収益がほとんど出なかったり、投資金額を下回って元本割れになることもないとは言い切れません。
なので、教育費のベースは預貯金や学資保険などで作り、“上乗せ部分”としてゼロクーポン債を利用するのがいいですね。