バフェット氏も購入している米国債の魅力
【深野】ちなみに2024年現在で個人的にオススメなのは、米国債です。米国の金利はピーク圏に達して徐々に低下傾向にありますが、それでも米国の長期金利は4%程度。単純計算では10年間で40%(税引き後約36%)の収益ですから、依然として投資妙味の高い商品だと言えるでしょう。
【ウエノ】バフェット氏も米国債を買っているという話ですからね。
【深野】そうです。基本的に「債券の利率(長期金利)が上がれば、株価は下がる」と言われています。なぜなら米国株式で4〜5%の運用益を得ようと思うなら、金利が上昇した今は米国債を買ったほうが安心・安全にリターンを得られるからです。
特に年金機構など巨額資金を運用する機関投資家は、安定運用を心がけます。金利が上がるとそういった巨額資金が株式市場から債券市場へと流れていくので、相対的に株価が下がるというメカニズムが生じるのです。
【ウエノ】ちなみに、米国債にもいろんな種類がありますが、どれを買うべきなんでしょうか?
現役世代はゼロクーポン債がおススメ
【深野】まずは米国債の基礎知識から解説しましょうか。米国債には定期的に利息が支払われる「利付債」と、利子の支払いがないかわりに額面金額より割引されたディスカウント価格で購入できる「ゼロクーポン債(割引債)」があります。
また、新規発行の新発債と、過去に発行されて市場に出回っている既発債があるのは、米国債も同じです。米国債はネット証券から店舗を構える旧来の証券会社まで広く取り扱っていますが、通常は既発債を購入するのが一般的ですね。
【ウエノ】ゼロクーポン債って、聞き覚えのない商品なのですが、利付債よりもオススメなんですか?
【深野】それは投資スタンスによりますね。利付債とゼロクーポン債の違いは、保有期間中に利子を受け取れるか否かです。
なので、仕事を完全にリタイアして「定期的な金利収入を得て生活費にしたい」という人は利付債を買うのがいいでしょう。
一方、現役世代の人で「何か将来の目的のためにお金を貯めたい」という人は、ゼロクーポン債がいいと思います。