国際団体もGoogleから資金提供を受けているが…

JFCのガイドラインには「当センターにおいてファクトチェック記事の作成に従事する者は、正確性と透明性の問題を除き、当センターがファクトチェックを行う可能性のある政策課題について、合理的な一般市民が当センターの活動を偏ったものと見なす恐れがあるかたちで、自らの見解を提言又は公表してはならない。」と書いてある(14条)。

プラットフォーム規制が、日本でも話し合われている「政策課題」であることは間違いない。そして、もちろんGoogleやYouTube、LINEヤフー、Metaはその最大の対象だ。繰り返しになるがJFCの資金源は99%がそのプラットフォーム3社からである。

スマホ上に表示された各種SNSアイコン
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
※写真はイメージです

実は、ファクトチェックの国際団体IFCN自身も、Googleから1300万ドル以上の資金提供を受けている。しかし、メンバーの多くはGoogleなどの巨大プラットフォームを公然と「フレネミー(フレンドであり、同時にエネミーでもある)」と呼んでいる。資金提供を受けていても、その下請けや代弁者となり下がらないために、意識して距離を保とうとしているのだ。

彼らはYouTubeの批判もしている。2022年にはYouTubeのCEO(当時)宛てに公開質問状を出している。80以上のファクトチェック団体が署名したこの質問状の冒頭には、次のような強烈な言葉が綴られている。

「YouTubeは、悪意のある人たちがそのプラットフォームを武器として使い、他者を操り、搾取し、組織化し、収益を上げることを許容してしまっている」

JFCから回答が来たが…

Googleからの資金が、編集方針に影響を与えているのではないか。その疑念について、筆者は12月4日にJFCに質問を送った。JFCからは12月19日に「当センターはファクトチェックガイドライン第2条に基づき、非党派的かつ公平公正なファクトチェックを実施しており、プラットフォームとの関係もこうした原則に基づいております」という返信があった。

筆者が送った質問内容とJFCからの回答全文は、別途掲載するが、筆者がガイドラインの条文まで挙げて具体的な質問をしているのにもかかわらず、JFC事務局は「ご参考までに下記もご覧下さい」として、そのガイドラインのリンクを送ってきた。

また、筆者は「アルゴリズムについて『便利』という言葉を2回も使った図」を例に挙げ、こうした説明をする意図を質問した。事務局は、その質問には直接回答せず、「参考までに」としたうえで、このような返答があった。

SNS、アルゴリズム、エコーチェンバーなどの問題につきましては、ご連絡いただいた記事の他にも下記の講座理論編でも取り上げさせていただき、多くの方にご視聴いただいております。
フェイクニュースとアルゴリズム YouTubeやTikTokが便利で危険な理由【JFCファクトチェック講座 理論編3】

これには驚かされた。この記事は質問状で「チェックした」と伝えたものに含まれているうえ、そこには筆者が質問したのと実質的に同じ図が使われているからだ。「なぜこんな図を使ったのか」という質問に対して、「図そのもの」の確認を求められるとは思わなかった。