内外を動かす「宙わたる教室」
「宙わたる教室」(窪田正孝主演)は「自分らしさ」重視派にも「こだわり」が強い派にもよく見られた。
定時制高校を舞台としたドラマで、学習障害で負のスパイラルから抜け出せずに悩む生徒や、起立性調節障害を抱え保健室登校を続ける人など、「不良品」と位置付けられる生徒が集まっていた。
ところが、主人公の藤竹先生は、生徒一人ひとりが前をむけるように寄り添う。
そして学会発表まで漕ぎつける。科学と効率性、定時制への偏見などと対峙しながら、「知る楽しさ」を個々の生徒に実感させ、「どんな人間にも必ず可能性があります」という信念を、生徒や周囲の大人に納得させていく。
その意味で同ドラマは内外を動かしたと言えよう。
人の内面を変え、同時に教育や科学を取り巻く社会にも一石を投じた。新たな学園ドラマの可能性を切り拓いた一作だった。
存在理由を問う「チ。」
アニメ作品「チ。」は地動説を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語だ。この視聴パターンは上記3作とも異なった。
「こだわり」の強い人々の数字が、前枠で放送された「鳥は主を選ばない」の2倍と急伸していた。
同アニメには3つの「チ」が重なる。1つ目は副題にある通り地動説の「地」。2つ目は、真実のために命をかける「知」の探求。そして既存体制の維持のために流れる「血」。視聴者の心は3つの「チ」の中で揺れ動く。
それでも信念を抱き、命を懸けても真実を追い求める姿勢や、感動が高まるように仕組まれた物語にハマっていく。「こだわり」こそがアイデンティティという展開に目が離せなくなるのである。