「銀座=お金持ちばかり」ではない
高級感を放つ銀座でEDLPのスーパーというと違和感があるかもしれない。だが、近年は職住近接が当たり前となっており、勝鬨・晴海にもタワマンが多く建ち並んでいる。銀座から自転車で15分圏内に暮らす人口も多くなっているため、日常の買い物をする顧客も安定的な固定客になっているようだ。
少し離れた豊洲から車で来ている60代女性に話を聞くと、「品揃えも良く品質の高い肉が通常の3分の1で買える。毎日来ている」とのこと。また、オーケーから徒歩5分ほどの銀座3丁目に住む60代の主婦は、「売り場も広く相場に合わせた買いやすい値段の商品が品揃えされており、近所の人も便利になったと評判だ」と言っていた。
「銀座近くに住んでいる人」というと、年収が高く羽振りの良い人たちばかりが住んでいるイメージがあるが、実際はそうではない。再開発前から暮らしている高齢者もいれば、清水から飛び降りる覚悟でタワーマンションを購入し、普段は節約に勤しむ若いパワーカップルもいる。
「都心の買い物難民」を救っている
筆者も家庭の都合で銀座近くの浜松町に10年近く住んだことがある。平成の後半ぐらいまでの銀座地区は、家賃が高くいまほど職住近接が進んでいなかったこともあり、食品スーパーが極端に少なく、「買い物難民」が発生していた。庶民にとっては、安い価格で食品を買い物するところがほとんどなく、生活するのが大変だった思い出がある。主婦の方の話には大きく共感した。
今回の銀座店はまさにそうした都会の買い物難民を救う店舗になっているようだ。職住近接も進み、超高齢化の進む都心の顧客に対するEDLPのスーパーの第一歩目のフラッグシップになり得る。