“勉強っぽくないところ”が良い
自分にも相手にも有利な交渉へといかに持っていくか。もしくはどうやって自分に有利な条件をのませるのか。外交の現場のメカニズムを、教科書ではなく実体験として学べるというのは、大変稀有な経験だと思います。
ここまでモノポリーと勉強とのつながりについて解説してきましたが、モノポリーというゲームは、実際にプレイしていてとても楽しいのです。熱中していた私自身も、難しいことは考えずに純粋に楽しんでいました。
しかも、やっているだけで思考力や判断力を養えるだけでなく、大人になっても学び続けなければならない「経済」「法律」「政治」といった教養を、子供時代から身につけられるのが魅力的だと思います。
近年は高校でも金融教育の一環として投資の仕組みを学ぶ授業が増えてきています。これは、従来大人だけが知っていれば良いと思われていたお金の仕組みや経済の仕組みを、高校生の段階で知っておく必要性が生まれてきたということを表しています。
家族や大人数で遊ぶのに“ベスト”なゲーム
実際に私の周りの生徒たちからは「金融の話って、ちょっと複雑すぎてよくわからない」「お金の勉強が大切なのはわかるけど、親近感がわかない」という声を聞くことがあるので、そんな時には、ぜひモノポリーをやってみてほしいと伝えています。
いずれは、小学校や中学校でも金融や経済に関する授業が増加していくかもしれません。「思考力や判断力」といった力のみならず、金融リテラシーや法律リテラシーなども、重要な能力として求められる時代になってきたのでしょう。
なかなか家庭の日常会話や学校、塾の勉強だけではこうした知識を身につけるのは難しいのではないかと思いますが、モノポリーなら、どの家庭でも簡単に実践できる「遊び」です。親も子供も一緒になって遊んでいたら、経済や法律の知識が自然と身についてしまうゲームは、ほかに例が無いのではないかと思います。
子供の視点からすれば、ゲームであるにもかかわらず両親と本気で話し合い、時には交渉や駆け引きをするという経験は、とても貴重なものです。たわいも無い話をして盛り上がりつつも、「モノポリー」というゲームに勝つためには、真剣に「経済のこと」「お金のこと」を議論することになります。そうした体験の中で生まれる会話の一つ一つは、家族のコミュニケーションとしても、とても大切なものだったと今改めて感じます。
長期の休みであれば、家族の団欒も増えると思います。まだやったことのないという方は、ぜひこれをきっかけに子供の学習に多いに役立つ「遊び」を取り入れてみてはいかがでしょうか。