ゲームなのに「経済」「法律」「政治」が学べる

「他のゲームと比べて、随分と社会性があるな」と思われた方が多いと思います。このゲームはすごろく形式で進んでいくので、仕組みは至って単純で、子供でも容易に理解できます。

しかし、このゲームは背景や設定が大変奥深く、時には大学で学ぶレベルの思考が必要とされます。このような性質から、アメリカのローラス大学では「国際政治経済」の授業でこのモノポリーを活用しているそうです。

このゲームが「子供の学習に役立つ」とおすすめできる理由。それはゲームなのに「経済」「法律」「政治」が学べてしまうからです。まず「経済」という観点です。

子供の頃は、学校や塾といった閉ざされた社会で生活することが多いため、「経済の仕組み」を体感する機会は非常に限られていると思います。私自身の過去を振り返っても、せいぜいコンビニでお菓子を購入する、もらったお年玉や小遣いを貯めたり銀行に預けたりする……くらいかと思います。

しかしこのモノポリーは、本格的な経済の構造をゲームにして体感することができてしまうのです。

モノポリー
写真=iStock.com/NoDerog
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小学生でも“経営者の考え方”を体験できる

例えば「新しい店舗を設ける」という事例で考えてみましょう。一般的に、企業が地方に新店舗を設けるかどうかを判断する際には、新設することでかかる支出と、店舗を新設することで増える売り上げを比較しているかと思います。

この際、売り上げの予測は大変不確定であることも多く、どれくらいのリスクを背負うべきかという判断を強いられると思います。企業の経営者が考えるような問題を、モノポリーでは「家を建てるかどうか」といった局面で考えることになります。

実際に私自身も小学校6年生の頃に「確率」を勉強したので、モノポリーではその知識をフル活用しながら「次のターンに他のプレイヤーが、自分の土地に止まる確率は30%で、家を建てることで得られる追加レンタル料は180ドルだから、期待値は54ドルか。しかし、次の自分のターンのことを考えると、最低でも手元に200ドルは残しておきたいから……」といった思考をめぐらしました。

もちろん「家を建てる」「ホテルを建てる」といった投資を行わなくてもゲームは進むのですが、手元にお金を貯めているだけだと確実と言っていいほど、負けてしまいます。

適切なタイミングにリスクをとって、投資を行い、そこから不労所得を得ていかないと、資本主義の世の中を勝ち抜けない。小学生ながらにして、こうした経済の厳しさも学ぶことができる点で、モノポリーは優れていると思います。