スーパーの解凍マグロが水っぽい理由
高川さんは「スーパーで売られているマグロがあまりおいしいと感じられないのは、解凍が不十分なケースが多く、水っぽいことも要因のひとつ」とみる。逆に「食べようとしたらまだ凍っていた」なんてケースもあるようだ。
スーパーで売られるすべてのマグロがおいしくないとは言えないが、「もともとグレードの高くないマグロが多いことに加え、解凍法は店舗ごとに任されていることが大半。店によってはスペースなどの都合も手伝って、解凍法が不十分なこともある」と、スーパーのバイヤー経験者は話す。
もっとも、スーパーなどの小売店でしっかりした解凍が実現できたとしても、店頭にマグロを並べて客が買って食べるまでの時間はまちまちだけに、必ずしも解凍法の統一が得策とはいかないのかもしれない。
人気の座をサーモンに奪われつつあるマグロ
マグロは魚の横綱的存在で、寿司ネタでナンバー1の人気を誇ってきたが、近年はサーモンなどに押されて需要は若干下がり気味。豊洲市場の寿司店でも、インバウンドの増加もあって、「お好みの注文で一番多いのはサーモンかもしれない」といった声が多く聞かれる。
日本かつお・まぐろ漁業協同組合の香川謙二組合長は、「マグロ漁師は遠洋漁場の荒波を受けながら大切にマグロを獲り、すばやくマイナス60度で急速冷凍している。食卓に上る前の解凍がうまくいかなければ、漁師の苦労も報われない。ぜひ5%塩水解凍を試して、おしいくマグロを食べてほしい」と話している。
同組合では解凍法を詳しく紹介した動画を公開し、水産業界だけでなく一般にもこの手法を広くPRしている。この年末年始、せっかく手に入れた冷凍マグロを「さあ食べようか」と冷凍庫から取り出したなら、5%の塩水解凍法を試してみてほしい。身はしっとり、マグロのうま味を最大限感じることができるはずだ。