マネジャーは、成功ストーリーを語れ

現場は何をしなければならないかを明確に指示しないマネジャーは、会社の価値基準に基づいて部下の決定や行動を導く必要がある。組織の中では、実行にかかわる決定が毎日何千件も下されるのだ。営業担当者は大口顧客に次の注文で割引を与えるかどうかを決定し、調査担当者は製品の新しい機能について調査するかどうかを決定する。どんな経営幹部もこれらすべての決定に対処する戦略を構築することなどできはしない。

そこで価値基準の出番になるわけだと、シモンズは言う。価値基準は行動指針になるが、社員の利益と顧客や株主の利益が対立するとき、どの選択肢を選ぶかなど、社員が難しい決定を下す助けにもなるのである。

価値基準はストーリーを使うことで最も効果的に伝えることができる。「価値基準が自分たちの仕事にどのように関係しているかについて、マネジャーがストーリーを語れなければ役に立たない」と、シモンズは言う。価値基準に従うことで会社の戦略と一致する決定を下している社員の例を見つけ、スタッフ・ミーティングの場やコーヒー・ブレークのときなどにそうしたストーリーを語ろう。

これら3つの方法に従っても、現場社員の一部が戦略に反対するという事態は十分ありうる。

このような場合は、彼らの話をよく聞くことだ。マネジャーの仕事のひとつは、悪いニュースが組織のトップにきちんと届くようにすることだ。だが、マネジャーがそんな懸念に対処した後は、社員は自分の意見に関係なく戦略に貢献する必要があると、シモンズは強く主張する。