戦略の内容を組織全体に伝える

戦略の構築に社員を参加させれば、実行は自動的によりたやすく、よりスムーズになるとマーチャントは言う。そこに時間や労力を投じたことで、社員はその戦略の長期的な実現に関心を持つようになるからだ。だが、それが不可能な場合にはマネジャーは戦略を組織全体にうまく伝える必要がある。社員たちがその戦略を現実的で、達成可能で、自分や自分の部署や顧客に適用できると感じるように伝えるのである。

ハーバード・ビジネス・スクールの経営学教授で、近日刊行予定の『Seven Strategy Questions:A Simple Approach for Better Execution』の著者、ロバート・シモンズは、「戦略マップ」などのビジュアル・エイド(視覚的支援ツール)を使って、現場の社員に会社がどのようにして自社の目標を達成しようとしているのかを見せることを提案している。

戦略を伝える際には、その成功を測定する基準も必ず一緒に伝えなければならない。それによって現場の社員は、実行における自分の役割に責任を持つことができるのだ。会社は何を達成しようとしているのか、そしてその目標に向けての前進をどのように測定するつもりなのか。これらの2点を伝える必要があるわけだ。

もちろん、仕事によっては戦略とのつながりが強いものもあれば、さほど強くないものもある。それでもやはり、すべての社員が戦略に参加する必要がある。

「戦略は会社がどのようにすれば顧客にとっての価値を生み出せるかという理論なのだ」と、シモンズは言う。その理論を社員に説明し、彼らの仕事が顧客と直接関わるものであろうとなかろうと、自分の仕事と一体化させる手助けをするのはマネジャーの責務である。