どうしても捨てられないものは、携帯などの写真に撮っていつでも見られるようにしておくと、踏ん切りがつきます。

携帯の写真は、掃除の効果を確認するためにも活用できます。私は、毎日掃除のビフォーとアフターを撮影して、ブログにアップしていますが、少しずつきれいになっていく様子を見るのは楽しいものです。しかも、初期のころのビフォー写真は、2度とその状態に戻さないための戒めになります。

今使っていない過去のものでも、亡くなった人の思い出の品や、持っていると安心できるものは、必要なものですから捨てる必要はありません。ただ、それが段ボールなどの中に入ったままであれば、使っていることになりませんから、家の中に1カ所だけ「思い出コーナー」を作って飾っておくことをおすすめします。

いらないものを処分できたら、次は残ったものを収納する「整頓」です。見栄えを考える必要はなく、動線を考えて便利な場所に収納するのがポイントです。たとえば、よく使うコップは、棚の奥のほうに入っていると出し入れが面倒で、出しっぱなしの原因になります。これを、自分の動きを最も省力化できる場所や方法を考えてから収納すると、ひと手間はかかりますが、それ以降出しっぱなしにすることがなくなり、結果的には掃除の効率化につながります。

「整理」「整頓」が終われば、後は「清掃」「清潔」を繰り返すだけ。同じ労力で、楽にきれいな部屋を維持できるようになります。

職場の机や自宅のリビングなど、1カ所か1部屋なら、約3週間できれいになります。不思議なことに、どんな習慣でも3週間続けると、無意識にできるようになっていきます。まずは3週間を目標に「10秒掃除」から始めてみてください。「掃除の習慣」が意外に簡単に手に入ることを実感するとともに、自分の新たな可能性を発見できるはずです。

メンタルリスクマネジメント代表取締役、日本そうじ協会理事長 今村 暁
北海道大学法学部卒業後、日本長期信用銀行を経て独立。「習慣教育」「習慣道」の創始者として知られ、現在は企業コンサルティングや人材育成に携わる。著書は『3分間日記』『子どもの成績を決める親の習慣』『習慣力』ほか多数。
(構成=小宮千寿子 撮影=萩原美寛)
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