宇宙はいったいどんな形をしているのか
早速、ポアンカレ予想を紹介しましょう。ポアンカレ予想は、数学の言葉で書くと、次のようになります。
単連結な3次元閉多様体は、3次元球面と同相だろう
よほど数学に詳しくない限り、これだけでは何を言っているのか、まったくわかりませんね。
まずは喩話で説明しましょう。すごく簡単に言うと、この予想は、次の問題を提起しているのです。
宇宙の形が、ざっくり丸いかどうかを確かめるには、どうすればよいか?
宇宙の形。私たちはなんとなく「丸そう」と感じてしまいますが、果たしてそれを確かめることはできるでしょうか?
もし仮に、宇宙を外から眺めることができれば、宇宙の形は一目で明らかになります。しかし残念ながら、私たちは宇宙の外に出ることができません。そうすると、私たちには宇宙の形が永遠にわからないのでしょうか?
この懸念に対し、ポアンカレは「宇宙の外に出なくても、宇宙がざっくり丸いか丸くないか、確かめることができるはずだ」と考えたのです。
ほんとうに地球は丸いと言えるのか
いったいどんな方法を使えば、そんなことができるのでしょうか?
いきなり宇宙のことを考えるのは難しいので、もう少し簡単なところから始めましょう。
私たちは地球の表面で生活しています。では地球が丸いのか丸くないのか、地球の表面から離れて地球の外に出ることなく、知る方法はあるでしょうか?
すぐに思いつくのは、「地球を一周してみる」という方法です。
ひとつの方角、例えば「西」と決めて、船でひたすらその方角へ進み続けるのです。そして出発地点に戻って来られたら、地球は丸いと考えられるでしょう。
約500年前、同じようなことを考え、実際に地球を一周した人たちがいます。フェルディナンド・マゼラン一行です。1519年、彼らはスペインを出発し、大西洋を西へ西へと進み続けました。南米大陸を迂回し、太平洋を横断し、スペイン出発から3年後、ついに出発地点に帰ってきました。彼らはこうして、地球が丸いことを実証したのです!