理数各100点、面接が200点…学科の点数がよくても落ちる

しかも、面接は合否の決定打となるケースも多いという。鍵となるのは、配点だ。大学によっては、面接結果を点数化しないこともあるが、英・数・理など主要科目と同等以上か、さほど低くない配点にしている大学も少なくない。

例えば、国立大。秋田大の2次試験は英・数が各100点、面接が200点。面接は総得点の50%を占める。

私立大では、金沢医科大学(前期)の配点は、英・数各100点、理科2科目計150点、面接110点、小論文60点。面接が約20%を占めている。

「学科の問題が難解で平均点があまり高くない場合は大きなチャンスとなります。なぜなら、面接は面接官の心象によっては満点もありえるからです。合否の決定をする総合点で大逆転も可能になります。私が過去に指導した受験生の中でも、私立の1次の得点が低かった子が2次の面接で高評価を得て合格するケースは少なくありません」

【図表2】医師の両輪は「科学」と「アート」
出所=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

では面接でどう答えればいいのか。

どの大学の2次試験でもほぼ必ず質問されるのが、これだ。

「なぜ医師になりたいのですか?」

これに対して、「以前、家族や親戚が病気やケガで命を落としたことがきっかけです」と回答したとしよう。評価はどうか。身内の悲しい出来事を踏まえたもので、決して悪くはない。だが、動機付けとしてやや浅い印象は否めない。なぜなら面接現場で、実際にこの回答をする受験者は珍しくなく、インパクトに欠けるからだ。

「なぜ、医学部は毎年この見え見えの質問をするのかといえば、どれだけ医学に関して真面目に考えたのかが顕著に表れるから。とってつけたようなありきたりな回答だと、面接官は『この人は、ただ医師というステータスがほしいだけ、お金を稼ぎたいだけなのではないか』といった疑念を抱いてしまうかもしれません。

そもそも医師の仕事は、患者の命を預かったり、夜勤で長時間勤務があったり、と過酷です。そうしたつらい状況になったときに、しっかりした動機がない人は苦しさに耐えられませんし、踏ん張りもききません。でも、病める人を癒やすという行為にその人なりの価値を見いだし、患者の命を救ってその人の人生に貢献したいという志や奉仕の気持ちがある人ならやり抜ける。それまでの人生で経験した具体的なエピソードを挿入しながら、そういう回答ができたら評価も高いでしょう」